宇宙戦艦ヤマトを見ていて、まさか怪獣(バラノドン)を見れるとは思ってなかった上に、怪獣VSヤマトの戦いを見れるだなんて・・・と幼少期に感動したのを覚えていますが、ガス生命体は幼心に怖かったですね。
宇宙戦艦ヤマトに出てくる国家で唯一生物兵器を実戦投入したのは大ガミラス帝国のみでした。その独創性は際立っていましたが、当のガミラス帝国での生物兵器の立ち位置はどんなものだったのかをガス生命体から考察してみましょう。
ガミラスで初めて生物兵器を紹介、実戦投入したのはデスラー総統であり、その生物兵器はエネルギーと物質を得て成長するガス生命体でした。
ガス生命体をどうコントロールしているのかは不明ですが、デスラー総統はガス生命体をグラスから足元へ垂らして解放するのですが、襲われることもなく射撃した後、銃を放り込んで巨大化するのを閣僚に見せつけた後、床下へ収納しました。ヤマトを襲わせたのとは別の個体であり、どれくらいの数というか体積を保有しているのかは不明ですが、デスラー総統府の床下と研究施設がパイプラインで繋がっているのかも知れません。
この様な危険な生命体を総統府に持ち込むのも驚きですが、完全に制御コントロール出来るが故なのでしょう。本土決戦でこの生物兵器を再投入していれば、また結果は違ったかも知れませんが、濃硫酸の嵐には耐えられなかったのかも知れませんね・・・
このガス生命体は、実は無限の可能性を秘めているかも知れないと思うのです。何せ、エネルギーを与えれば無限に大きくなると思われるからです。
しかし、良いことばかりではありません。使用は限定的なものとなります。ガス生命体は動きは遅くはないものの、艦船はとばせば逃げおおせることは出来ます。なので、デスラー総統はバリアーでヤマトを囲い込み、α星という恒星へガス生命体で追い立てさせました。つまり密室空間で解き放ち、ヤマトを溶解させるという使用方法です。
何もないところで使用しても逃げられてしまいますが、敵本拠地を制圧後使用する気が無ければ、この生命体を送り込めば一気に片が付くのではないでしょうか?
しかし、ガス生命体は二度と実戦投入されることはありませんでした。当のデスラー総統も余興として閣僚に紹介した感じなので、どうやらガス生命体を高く評価はしていないと思われます。
しかし、この後、ゲイルがバラノドンをコントロールしたことを鑑みれば、やはりガミラスには生物兵器開発部門が存在するのは間違いありません。
では、ガミラスは評価の高くない生物兵器をわざわざ何の為に研究開発をしているのでしょうか?
それを判断するには、この時のデスラー総統の言動から推測するのが適当であると考えます。デスラー総統は、ここまではヤマトのことを大して評価はしていません。が、しかし、このガス生命体襲撃を乗り切った後に沖田艦長を有能な指揮官と認識した感があります。
というのも、ヤマトがデスラー機雷の窮地を乗り切った手腕を「野蛮人の素朴な発想」と評し、デスラー総統はヤマト艦長沖田へ祝電を打ちます。沖田艦長はすぐさま発信源を太田に問いますが太田は確認を怠り叱責されます。かなりイラついたのか太田のことを相原と呼び続けました(笑)
しかし、ガス生命体襲撃を乗り切った際にヒス副総統が祝電を打ちますか?と問うた際にデスラー総統は「君はバカかね」と吐き捨てます。つまり、今度は沖田は発信源を抜かりなく傍受することを察したからに他なりません。この辺の駆け引きは大変見応えがあり、見る度に奥深く噛みしめております。
↑ヒスにガス生命体から逃れたことへの祝電をヤマトへ打ちましょうかと提案されるデスラー総統
これらのことから察するに、ガミラスは多方面に戦線を構えている為、先進国相手には科学の粋を結集して建造した艦隊で対峙し、文明の遅れた国家には生物兵器で対応する・・・という具合に生物兵器によって戦力の分散を防いでいたのでしょう。
つまり、生物兵器は格下に使用する兵器!という立ち位置だったということです。厳しい戦線の報告と違い、格下相手の余興として楽しむ戦闘民族の娯楽的な立ち位置ならば、閣僚を集めて鑑賞するのも頷けます。
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