根本、杉山に考えさせられるコト

宇宙戦艦ヤマト

宇宙戦艦ヤマト第8話において宇宙戦艦ヤマトは冥王星海底に没し、そこから冥王星基地へと目指します。

この時、ヤマトは初めて敵基地内へと殴り込みを掛ける白兵戦を挑み成功を収め、以後、白兵戦はヤマトのお家芸となります。ラスボス倒しは白兵戦で・・・という位にまで昇華されたヤマトの白兵戦の成否は地球の命運を握っている!とまで言えるでしょう。

ヤマトの栄えある白兵戦は、特別攻撃隊と命名され、古代、真田、加藤、根本、杉山の僅か5人で敢行されました。勿論これにアナライザーも加わりますが。

古代、真田、加藤は宇宙戦艦ヤマトにおいてはビッグネームであり、その後の活躍と存在感は圧倒的であり、正にヤマトを支える顔にまでなります。つまり、この5人は選ばれし者・・・であったはずです。

しかし、ヤマトファンは、この特別攻撃隊を見る時に、古代や真田に己を重ね合わせ、感情移入してハラハラして見ることが多いと思われます。加藤はこの時はまだ目立ってはいません。因みに加藤の声が神谷明ではなく、山田俊司であるのは今回初めて気付きました。

空中戦、白兵戦となると古代が先頭に立つのは定石です。戦闘班長というポジションに加え、血の気が多く好戦的であるが故に出来た定石でありましょう。

そんな古代と付き合いが長いのが、根本、杉山なのでしょう。この頃の古代は思慮が浅く、考える前に先ず行動・・・なので窮地に陥ることが多々あるわけですが、この時も冥王星原住生物に襲われとっさに叫んだ名前が杉山でした。杉山の信頼の厚さが窺い知れるというものです。

一方根本は反射衛星砲の排気口内で足を滑らせ、古代を巻き込んで滑落します。この時はアナライザーのお陰で大事には至りませんでした。この事から根本は慎重さに欠けると見受けられます。古代も慎重さに欠けますが・・・

排気口を抜けると、攻撃隊の前に使途不明の部屋が現れますが、定石通り古代が先頭切って入ろうとするのを真田が止め、真田が投げ込んだ銃カバーが高圧電流で黒こげに・・・早くも急死に二生を得た古代。助かったのは全て仲間のお陰です。

魔の部屋を文字通り綱渡りで切り抜けた攻撃隊は攻撃目標の反射衛星砲を目にするのですが、ここで信じられない事が起こります。

定石に反して根本が先頭を切って駆け込むのです。何時でも古代が我先にと駆け込む掟がここで覆されたのでした。「古代さん!アレだ!」と駆け込む子供の様なその姿・・・砂漠にオアシスを見つけた隊員が砂に呑まれるが如く、この数秒後に黒こげになる過酷な運命が根本に待っているとは、本人も周囲も思わなかったでしょう。

古代、根本、古代とここまで交互にしでかしてきていたとはいえ、何故、古代は先頭を根本に譲ったのか・・・

やはり、あの魔の部屋の直後であったのは間違いなく影響しているでしょう。しかし、そうなった真の理由は後述します。

反射衛星砲を目前にして黒こげになる根本

黒こげ事件直後、目的の反射衛星砲に辿り着いた刹那、杉本は射殺されてしまいます。

この決死隊は不幸にも2人の犠牲者を出した訳ですが、我々視聴者は言うに及ばず、決死隊の仲間、果てはヤマトクルーにも沈痛さは皆無でした。

冥王星基地爆破という達成感と喜び。正にハッピーエンドそのものでした。

私はこの有り様を見て、前述の根本が先頭を切れた原因が分かりました。それは持っていないということです。古代は持ってる男なのです。だから落命もしないし、ヒロインのハートも掴み取り、栄達も待っているのです。

それを言ったら元も子もないだろうと言われそうですが、根本が足を滑らせた時、古代が原住生物に襲われた時、抱いた感情に差があったことでしょう。

しかし、根本、杉山にも帰りを待つ家族はいる訳で、地球全人類の為に命懸けで戦い名誉の戦死を遂げた訳ですから、ヤマトファンならば、この両名の名は心に刻まなければなりません。

ここで、勘違いしてはならないのが、我々庶民は、スタープレイヤーの古代や真田に感情移入するのではなく、凡人である根本、杉山にこそ感情移入すべきだと早合点することでしょう。

よくよく考えれば、根本、杉山はエリートなのです。

この2名を地球を救う宇宙戦士ではなく、身近な野球選手に例えてみましょう。普通の公立校の野球部員からしたら、甲子園に出れる選手は雲の上の存在です。

しかし、その甲子園で活躍してもプロ野球のドラフトにかかる選手はほんの一握りであり、さらにその中で1軍に昇格出来るのは更に一握りとなり、大半は1軍で活躍する事なくヒッソリと戦力外となります。

しかし、1軍でレギュラーに定着出来る者は更に更に一握りであり、当落線上の選手は打たれたり、打てなかったりすると、ファンからヤジられたり、使えないとか野球好きオヤジの野球談議でダメ出しされるわけです。

で、そのヤジってるファンは高校時代では毎年初戦敗退してたり、そもそも野球すらしたことのない者だったりするのです。

一方、ヤジられてるその選手は、野球エリートとして周囲から崇められ、ドラフトにかかった上に、1軍に呼ばれた者ですから、底辺からは程遠く頂点の方に近い存在なわけです。

つまり、ヤマトで言うと根本、杉山なわけです。この2人は用具係という裏方さんでもなく、れっきとしたプロ野球選手に当たるのです。

どんなエリートでも、高みに登ればふるいにかけられ、序列の下につく可能性があり、酷評も受ける辛さ・・・それを根本、杉山は教えてくれているのではないでしょうか。

今現在、元戦艦大和乗組員だと言えば、尊敬を集めることでしょう。根本、杉山は宇宙戦艦ヤマトの乗組員であるばかりか、人類を地獄の底に叩き落としたあの冥王星基地に乗り込んだ者なのです。それは全人類でわずか5人しかいないのですから歴史教科書に載せても良いくらいです。

そんな危険な場所で人類の為に戦い、非業の死を遂げた英霊は、英雄の丘に祀られているのですから、英雄の丘が映ったシーンでは、根本、杉山に思いを馳せ、黙とうを捧げるのが、ヤマトファンのたしなみと言えるでしょう。

追記

今回アップするまで、間隔が1週間以上も開いてしまいました。他にやらなければならないことがあり、ペースは鈍りそうですが、塩漬けにはしないので、気長に温かい目で見て頂けたら幸いです。

今作はアメブロ版と違い、画像貼り付けではなく、自分で絵を描いてアップしているので、余計に時間が掛かっています。あくまで記事が主で絵が従なので、絵は荒いですが(そもそも下手くそ)、一つの試みというか変化を持たせたかったもので・・・

前作のアメブロ版も、開始当初は閑古鳥が鳴いている中、自己満足だけで書き続けて数ヶ月後、お陰様で盛り上がっていきました。

このbatuの宇宙戦艦ヤマトを考える部屋2もヒッソリとしたスタートとなりましたが、今後飛躍出来るかは、面白い記事を書けるか否かに掛かっているので、頑張って参る所存であります。今後ともよろしくお願いします。

コメント

  1. バスライダー より:

    無理せずにマイペースで行って下さい。
    個人的にですが、絵は似せるよりも伝わる程度にデフォルメ(手抜き)した方が味が出て良い気がします(^_^)

    • batu batu より:

      >バスライダーさん
      有り難きお言葉、感謝します。絵も大して丁寧には書いていないですが、デフォルメとは良きアドバイスを頂きました。今後もヨロシクお願いします。

  2. KK より:

     元々ヤマトは地球脱出船として建造されていたのですから、乗組員として選抜された杉山、根本もエリートなのは間違いないでしょうね。他にも名前すら不明なクルーも多々いましたが、彼らも同じ立場に変わりはないでしょう。そのエリート故に、当初の目的から変更された「地球を救う使命」を全うすべく尽力したのは沖田や古代と言ったメインキャラだけではありません。杉山、根本は勿論「名無しのクルー」も使命に一命を賭したのは前者と同じなのは言うまでもないでしょう。
     「英雄の丘」で沖田艦長の像の下に飾られた殉職者のレリーフは数が限られていますが、別に慰霊碑があれば彼らの名前が刻まれているでしょう。
     小説版では雪が両名の未帰還に涙するシーンがあるので、ヤマトクルーなら尚更彼らの死を一生忘れる事はないでしょう。

    • batu batu より:

      >KKさん
      私はTVしか見ていないので知りませんでしたが、小説版では雪が涙していたのですネ。ホッとしました。ヤマト1隻に地球人類の命運がかかっているのですから、現役軍人の大半が戦死した中、有望な若手をかき集めてヤマトに乗艦させたと思います。パレードでは、退廃した群衆がヤジを飛ばす姿が生々しく、現在のコロナ騒動で岡山県知事に脅迫電話を掛ける輩と被りますね。

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